はじめに
池尻大橋駅から徒歩約7分の場所に、旧池尻中学校をリノベーションした複合施設「HOME/WORK VILLAGE」があることをご存知でしょうか。2025年4月にプレオープン、7月にグランドオープンしたこの施設には、コワーキングスペースやスモールオフィスが設けられ、リモートワーカーやフリーランスの方々が日々仕事に励んでいます。


HOME/WORK VILLAGEで快適に働くために
快適な作業環境、おしゃれなカフェ、集中できる静かなスペース。こうした魅力的な要素が揃う一方で、実は長時間のデスクワーク環境には、あなたの「お口の健康」を脅かすリスクが潜んでいます。
デスクワークに多い「なんとなく不調」の正体
「朝起きると顎が重だるい」「肩こりが慢性化している」「集中していると無意識に歯を食いしばっている」——こうした症状に心当たりはありませんか?これらは単なる疲労ではなく、姿勢の悪化が引き起こす噛み合わせのトラブルや顎関節症のサインかもしれません。
実は、デスクワーク中の前かがみの姿勢や猫背が、歯や顎に大きな負担をかけているのです。
デスクワーク中の姿勢が噛み合わせに与える影響とは
「姿勢と歯が関係あるの?」と不思議に思われる方もいるかもしれません。しかし、姿勢と噛み合わせには密接な関係があります。
前かがみ姿勢が顎の位置をずらす仕組み
パソコンやスマートフォンを使用する際、多くの人が無意識に前かがみの姿勢をとっています。猫背になると、背中が丸まり、顔が前に突き出た状態になります。
この姿勢では、頭の位置が前方にずれることで、顎の可動域が必然的に狭くなってしまいます。正常な位置から顎がずれると、噛み合わせのバランスが崩れ、顎関節や周辺の筋肉に負担がかかります。
実際、姿勢の悪化によって頭の重さ(成人で約5〜6kg)を支えるために、首や肩の筋肉が常に緊張した状態になります。そして、これらの筋肉は口周りの筋肉とつながっているため、その緊張がお口の筋肉にも影響を及ぼすのです。
パソコン作業と食いしばりの関係
集中して作業をしているとき、あなたは無意識に歯を食いしばっていませんか?
ストレスや緊張を感じると、交感神経が優位になり、口の周りの筋肉が緊張して食いしばる状態になりやすくなります。また、デスクワークの場合、画面を見る際に猫背になったり前のめりになったりすることで、筋肉が凝り固まり顎関節に負担がかかりやすくなります。
本来、上下の歯が触れている時間は1日で20分未満と言われています。つまり、通常は上下の歯は触れていない状態が正常なのです。しかし、食いしばり癖のある方は、上下の歯が接触している時間が長い傾向があり、これが顎と歯にとても負担をかける悪習慣となっています。

姿勢の悪化が引き起こす全身への影響
噛み合わせの不具合を長く放置すると、顎だけでなく全身に影響が広がります。
- 頭痛: 食いしばりによって側頭筋が緊張し、頭痛を引き起こすことがあります
- 肩こり・首のこり: 顎と首・肩の筋肉は密接につながっているため、噛み合わせの乱れによる負担が首や肩にも波及します
- 姿勢の乱れ: 噛み合わせ異常は、正常な咀嚼運動機能を阻害し、頭位の位置を変化させ、下部の脊椎症状を始め、姿勢異常をきたします
顎関節症の初期症状|こんなサインに要注意
顎関節症は、放置すると日常生活に支障をきたす可能性があります。早期発見・早期対処が重要です。
口内の状態チェック
- 上と下の歯の噛み合わせ面が擦り減って平らになっている
- 歯の外面と歯ぐきの境目部分に、削り取られたような傷がある
- 舌の側面に歯型がついている
- 頬の内側に白い線がある(噛んだ跡)
- 上顎の口蓋中央、または下顎の内側に骨の隆起がある
身体の不調チェック
- 朝起きた時に顎が重だるい、または痛い
- 口を開ける時にカクカク・ゴリゴリといった音がする
- 口が大きく開かない(指3本分縦に入らない)
- 起床時に歯に痛みや違和感がある
- 仕事中など、集中すると奥歯に力が入りがち
- 慢性的な肩こり・首こりがある
- こめかみが痛む、頭痛がある
「カクカク音がする」は危険信号
口を開けた時に「カクカク」「ゴリゴリ」といった音がする場合、顎関節内の関節円板(顎関節の骨の間にある軟骨組織)の位置がずれている可能性があります。
関節円板の位置がずれると骨や筋肉が傷付いて痛みが生じ、口がうまく開かなくなってしまいます。この段階で適切なケアを始めることが、症状の悪化を防ぐ鍵となります。
頭痛や肩こりも顎関節症のサイン?
意外に思われるかもしれませんが、顎関節症は顎だけでなく全身に症状が現れることがあります。

- 頭痛: 側頭筋の緊張により、こめかみ周辺に痛みが生じます
- 肩こり・首こり: 顎を動かす筋肉と首・肩の筋肉は連動しているため、顎の不調が肩こりとして現れます
- 耳鳴り: 顎関節と耳は近い位置にあるため、関節の炎症が耳に影響することがあります
- 疲労感: 睡眠中の歯ぎしりや食いしばりにより、睡眠の質が低下します
「歯の問題」と思っていなかった症状が、実は噛み合わせや顎関節症から来ているケースも少なくないのです。
噛み合わせと顎を守る4つの習慣
今日からできる、噛み合わせと顎を守る習慣をご紹介します。
1. 正しいデスクワークの姿勢とモニター位置
椅子の調整
- 椅子に深く腰掛け、背筋をまっすぐ伸ばす
- 肩はリラックスさせ、耳と肩が一直線になるように意識する
- 床に足がしっかりとつく高さに設定する
モニターの位置
- モニターは目線の高さ、または少し下に配置する
- 下を向く姿勢を避けることで、首や肩への負担を軽減できる
- モニターとの距離は50〜70cm程度が理想的
スマートフォンを見る際も、首を下げずに目の高さにスマホを持ち上げるようにしましょう。これにより、猫背や首の前傾を防ぎ、顎に余計な負担をかけずに済みます。
2. 1時間に1回のストレッチとマッサージ
長時間同じ姿勢を続けると、筋肉が凝り固まってしまいます。1時間に1回は休憩を取り、以下のストレッチとマッサージを実践しましょう。
簡単顎ストレッチ(各15秒×3回)
- 口の開閉運動: ゆっくりと大きく口を開け、数秒間保持した後、ゆっくりと閉じる
- 横移動: 口を軽く開けた状態で、顎をゆっくりと右側に動かし数秒保持、左側も同様に
- 前方移動: 口を軽く開けた状態で、顎を前方に突き出し数秒保持
首のストレッチ
- 首をゆっくりと右側に倒し、左肩を下げるように意識して10秒保持
- 反対側も同様に行う
- 体が温まっているとほぐれやすいので、入浴中や入浴後に行うのもおすすめ
顎のマッサージ
- 人差し指と中指を痛みのあるところ(こめかみや耳と頬の間)に当てる
- 円を描くように指を動かし筋肉をほぐす
- 痛気持ちいい程度の強さで行う
3. 作業中の食いしばり癖に気づく方法
無意識の食いしばりを防ぐために、以下の工夫をしてみましょう。
意識づけの方法
- パソコンモニターやデスクの目につく場所に「歯を離す」というメモを貼る
- スマートフォンのリマインダー機能で1時間ごとにアラームを設定する
- 上下の歯が接触していると気がついたらすぐに離し、深呼吸をする
舌の位置を意識する
正しい舌の位置(スポット)を意識することで、食いしばりを予防できます。
- 舌先を上の前歯の根元(少し後ろの口蓋ひだ)に軽く触れさせる
- 舌全体を上顎につけておくと、上下の歯が触れにくくなる
4. マウスピース治療という選択肢
セルフケアだけでは改善が難しい場合、歯科医院でマウスピース(ナイトガード)を作成することをおすすめします。
マウスピースの効果
- 就寝中の歯ぎしり・食いしばりから歯や顎関節を保護する
- 頭痛や首、肩のこりが改善される
- 食いしばりによる知覚過敏や歯の痛みが起きにくくなる
- 歯の摩耗を防ぎ、詰め物や被せ物の破損を予防する
ただし、マウスピースは歯ぎしりや食いしばり自体を「治す」ものではなく、症状を緩和する対症療法であることを理解しておきましょう。根本的な改善には、姿勢の改善やストレス管理など、生活習慣全体を見直すことが重要です。
まとめ|姿勢を整えて健康な噛み合わせを保とう
池尻大橋のHOME/WORK VILLAGEのような快適なコワーキングスペースで働くことは、生産性向上につながる素晴らしい環境です。しかし、長時間のデスクワークは、気づかないうちに姿勢を悪化させ、噛み合わせや顎関節に大きな負担をかけてしまいます。

今日から始められること
- 正しい姿勢を意識する
- 1時間に1回の休憩とストレッチとマッサージ
- 食いしばり癖に気づいたら歯を離す
- 適度な運動でストレスを解消する
こんな症状があれば早めに受診を
- 朝起きた時に顎が痛い、重だるい
- 口を開ける時に音がする
- 慢性的な頭痛や肩こりがある
- 歯が擦り減っている、または欠けている
顎関節症や噛み合わせの問題は、放置すると症状が悪化し、日常生活に支障をきたすこともあります。セルフケアと専門的な治療を組み合わせることで、症状の改善や再発予防が期待できます。
快適な働き方と健康な口腔環境を両立させるために、今日からできることから始めてみましょう。









